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舌下免疫療法について

舌下免疫療法について

アレルギー性鼻炎・スギ花粉症の免疫療法とは?

免疫療法とは、アレルギーの原因となるアレルゲン(抗原)を安全性が比較的高いと考えられる少量から投与し、徐々に量を増やしていくことによってアレルギーの体質を改善し、症状の改善もしくは消失を目指す治療方法です。

現在まで国内では注射によりアレルゲンの投与を行う皮下注射免疫療法が行われておりました。
注射による免疫療法は、注射による痛みがあること、通院が大変なこと、少数ですがショックなどの副反応(副作用)が出現すること、が問題でした。

このような問題点を解決するため、新しい治療方法として舌下免疫療法が開発されました。

その後、臨床試験の後、2014年より舌下免疫療法が保険適応となりました。
現在はあらかじめ治療方法の講習を受け、処方することを許可された、限られた治療機関で行われております。
また新たに2015年12月よりダニに対する舌下免疫療法も開始されております。

以下にスギ花粉に対する舌下免疫療法についてのご説明をしております。 治療選択のご参考になればと思います。

これまでの飲み薬と何が違うの?

舌下免疫療法は、今までの飲み薬のように花粉飛散による症状を抑えるものではなく、花粉飛散による症状を予防するものです。
今までの治療は症状が出る直前、もしくは症状が出た後から治療が開始されますが、舌下免疫療法ではスギ花粉の飛散シーズン前より治療を開始する必要があります。

舌下免疫療法で花粉症が治るの?

舌下免疫療法では、花粉症が根治する例は20%程度、とても良かったという人が30%前後、効いたと思うという人が30%前後で、全体の80%以上の人に有効であったとする報告があります。一方、治療効果が少ない、もしくは全くない人が10~20%でした。
症状に応じては現在までの治療の併用が必要となることもあります。

どうやって舌下免疫療法を行うの?
  1. お薬(液体)を舌の裏(舌下)に滴下します。
  2. 舌下に保持したまま2分間そっとしておき、その後に飲み込みます。
  3. これを最初の2週間で量を増やしていき、3週目からは同じ量の薬を毎日舌下投与します。1回目の舌下投与は医療機関で行ないますが、以降は毎日自宅で行ないます。
どのぐらいの間隔で受診する必要がありますか?

舌下免疫療法では、定期的な通院が必要です。
初回受診後、2回目、3回目は1週間後に来院していただき、副作用が無く安全にできているかを確認します。その後は月に1回の通院が必要です。当院では1ヵ月以上の長期の投薬は行なっておりません。

治療前に効果があるかわかるの?

舌下免疫療法では、長期間の治療を行なっても、効果が少ない、もしくはまったくない方が全体の10~20%に認められます。
また現在の時点では、治療前に効果があるかどうかを判定することはできません。

舌下免疫療法の治療期間は?

まずは2年ほど治療を行い、効果を確認いたします。
ある程度治療効果のある方では、治療を継続することで効果がより高まると考えられており、できる限り4~5年間の治療を勧めております。

舌下免疫療法は一生行う必要があるの?

舌下免疫療法は、4~5年行うことで、治療を止めても効果が長く持続すると考えられています。
まずは2年をめどに開始し、効果のあるかたには4~5年の継続を勧めいたしております。
終了後、何年も経過すると症状が出る場合がありますが、その場合には再度1~2年間の舌下免疫療法を行うと、効果が元に戻ると考えられます。

舌下免疫療法は治療後すぐに効果が出るの?

舌下免疫療法は、始めたら数日で効果の出るような治療ではありません。長期間の治療が必要です。

治療の副作用(副反応)は?

舌下直後にアナフィラキシーとよばれる強いアレルギー反応を起こす可能性があります。ただしこれまでの報告では重篤な副反応はきわめて稀であり、従来の注射による方法よりもかなり安全であるいとされます。
また軽い副反応(のどや顔面のかゆみ、鼻水、鼻づまり、口内炎、口の中の腫れ、下痢、せきなど)はありますが、治療を中断するようなものは少なく、治療時にはよく理解する必要があります。

舌下免疫療法を行うと他の薬は飲めないの?

舌下免疫療法では花粉症の症状が出現した場合、お薬の併用は可能です。
ただし、ステロイドの内服など、全身の免疫能を減らす飲み薬の併用は控えていただく様にお願いしています。(ステロイドの点眼や点鼻薬は併用して構いません。)

ほかにハウスダストアレルギーや他の花粉症があってもできる?

スギ花粉の舌下免疫療法は、他のアレルギーがある方でも治療は可能です。
ただし、治療によって他のアレルギーが改善するわけではありません。

ダニの鼻アレルギーには?

日本でもダニの舌下免疫療法が2015年に保険適応となりました。
ただし、スギ花粉症の舌下免疫療法とダニの舌下免疫療法の両方を同時に行なうことは勧められていません。

適応と適応外は?

適応はスギ花粉症で、採血などの検査で診断を行ないます。
また検査などで治療の適応と判断されたかたでも、以下の方は適応外です。

  • 妊娠されている方、および、近いうちに妊娠希望の方
  • 重症の喘息を合併している方
  • 重い心臓の病気を合併している方
  • 癌の治療をしているかた
  • 免疫不全などの病気の方
  • 治療で免疫抑制剤を使用しているかた

※高血圧でベータブロッカーという薬を服用している方は、他の薬に変更する必要があります。

適応の年齢は?

スギ花粉の舌下免疫療法は12歳からが適応となります。

治療費用は?

治療継続中は医院での治療費と薬局での薬代と合わせて、1ヵ月あたり1,500~2,000円程度の負担(保険適応3割負担の場合)になります。
また、治療開始前の検査や1年に1回程度の検査が必要となり、その際にも5,000円程度の検査費負担がかかります。

治療開始時期は?

花粉飛散が始まる直前に治療を開始すると効果がでないだけでなく、安全性にも問題があります。遅くとも12月末までに開始する必要があります。

また花粉飛散が終了して落ち着かないと開始できないため、スギとヒノキの花粉飛散が終わって1ヵ月程度経過した5月末頃まで開始できません。6月以降の治療開始をお勧めしております。

どのようなかたに特にお勧め?

スギ花粉症でお悩みのかたには、下記のようなかたにお勧めしています。

  • 花粉症の薬がたくさんいるので、少しでも症状をよくするか、薬を減らしたい。
  • 眠気など、薬の副作用がある。
  • まだ若いので、これからずっと毎年花粉症に悩むのか考えると心配。
  • 数年以内に妊娠の希望や予定はないが、将来に妊娠した際に薬が使えないのが不安。
  • 高校・大学などの受験期がスギ花粉症と重なるので、少しでもよくしておきたい。

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