インフルエンザ
インフルエンザについて
インフルエンザ(Influenza)ってなんだろう
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスによる気道感染症ですが、「一般のかぜ症候群」と比べると重症になりやすい疾患です。
インフルエンザ感染後、どれくらいで症状が出るのでしょうか?(潜伏期は?)
インフルエンザウイルスの潜伏期(感染後、症状が出るまでの期間)は1~3日間程度と考えられています。
どのようにして人にうつるでしょうか?
インフルエンザウイルスの感染経路としては、患者さんの咳やくしゃみの中に含まれるウイルスを吸入しておこる飛沫感染が考えられます。
どんな症状がでるのでしょうか?
インフルエンザに感染すると、比較的早期に発熱(通常38℃以上の高熱)、悪寒、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状(いわゆる風邪症状)がこれに続きます。
またしばしば腹痛、嘔吐(吐き気)、下痢といった胃腸症状を伴う場合があります。
合併症にはどのようなものがありますか?
インフルエンザには以下のような合併症があります。
- インフルエンザ脳症:発熱後、急速にけいれんや意識障害、また小児では異常行動をおこくことがあります。調査では毎年50人から200人程度のインフルエンザ脳症患者が報告されており、発症例の10~30%で死亡することがあります。
- 肺炎、気管支炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)など:急速な呼吸状態の悪化(息苦しさ、顔色が悪くなる、呼吸回数が増えるなど)を認めることがあります。また高齢者や合併症のある人では入院治療が必要になることがあります。
- その他 中耳炎、心筋炎、熱性けいれん、気管支ぜん息の増悪、肝機能障害など
診断はどのように行うのでしょうか?
通常は問診(お話を聞くこと)、診察(鼻とのど、胸部の聴診)を行い、インフルエンザの感染が疑われる場合、迅速検査キットを用いて検査を行います。
迅速検査の結果は10分程度で判定できます。
ただし症状が出現して24時間以内では陰性になることもあり、必要に応じて翌日再検査を行うことがあります。
治療はどのように行うのでしょうか?
現在は抗インフルエンザ薬(内服、吸入)を使用いたします。
発症後48時間以内に使用することにより、インフルエンザウイルスの増殖を抑え、症状を軽くしたり、発熱の期間を押さえたりする効果があります。
また症状により抗生剤、痛み止め、咳止め、などを使用することがあります。
肺炎や気管支炎、脳炎などの合併が疑われる場合は、専門医療機関へ御紹介の上、治療を行っていただきます。
学校や出席しても大丈夫?
学校保健法が平成24年4月改正され、"発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児においては、3日)を経過するまで出席停止"となっております。
家庭でできる予防方法・注意点はありますか?
以下の点で注意をしてください。
- お部屋は暖かくして、加湿を行ってください。
- 外出はなるべくせず、御自宅で安静にしてください。水分や栄養を十分にとってください。
- 外出の際はマスクを使用し、人ごみを避けてください。
- 外出後はうがい、手洗いを行ってください。
- ご家族の方はなるべく一緒の部屋で生活しないようにしてください。
インフルエンザワクチンについて教えてください。
現在わが国で用いられているインフルエンザワクチンは、ウイルス粒子を処理してつくられた不活化HAワクチンです。
ワクチンの接種により、感染や発症そのものを完全には防御できませんが、重症化や合併症の発生を予防する効果は証明されており、高齢者に対してワクチンを接種すると、接種しなかった場合に比べて、死亡の危険を1/5に、入院の危険を約1/3~1/2にまで減少させることが期待できる、とされています。
また現行ワクチンはきわめて安全性が高いと評価されています。
インフルエンザワクチン接種は特にどんな人に行った方がいいのでしょうか?
65才以上の高齢者やハイリスク群(妊婦、慢性呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能不全などのある患者さま)では、元の病気が増悪したり、肺炎などの呼吸器感染を起こすリスクが高いため、流行前のワクチン接種をお勧めしております。